ドンっと突き上げるような振動とともにゆっくりと揺れ出した。

会社のビルは震度１でも震度３くらい揺れる。

どんどん揺れが激しくなる。
全くおさまらない。
もう座ってはいられないので机の下に避難。
揺れはますます大きくなる。書類が崩れ、引き出しは開き、
キャビネットからは中身が崩れ落ちて来る。

とうとう来たか…。死を覚悟しました。

２回目の地震の後、会社を飛び出ました。
みんなに止められましたが、一刻も早く家に帰りたかった。
こんなところで死にたくないと思ってしまった。

電車はもちろん不通。でも歩いているうちに再開すると思ってたけど甘かった。
明日になるかもしれないと駅員さんは言っていた。

とりあえず歩きながらタクシーを探そう。
…甘かった。いつもあんなにいる空車のタクシーが全くいない。
タクシー乗り場は１０人くらい並んでいる。
とりあえず歩こう。明るいうちに行ける所まで行かないと。
ラッシュになったらもっと大混乱する…。

学生が多いからかみんな結構あっけらかんとした感じ。
全く焦っている様子はない。

人を掻き分け、四ツ谷まで。
タクシーは全くつかまらない。携帯も不通になってしまった。

四ツ谷三丁目の取引先へ行ってタクシーを呼んでもらおう。
取引先の方は快く電話を貸してくれたがタクシー会社には繋がらず。
もう歩くしかないな。
取引先の方は会社に戻るように言ってくれたけど
どうしても早く家族に会いたい。
歩いて帰る私に親切にも地図をコピーしてくれました。

慶應病院ならタクシーが拾えるかな？
長蛇の列でした。

明治記念館だったらタクシーが拾えるかも。
全く空車がつかまらないとのことでした。

暗くなってきてとても肌寒くなってきた。
絶望の中歩いていると、乗客を降ろしているタクシーを発見。
走ってかけよると先に女性が乗り込もうとしていた。
『どちらまで行かれますか？』と聞くと奇遇にも祐天寺。
一緒に乗せてもらえないかと聞くと、快くＯＫしてくださる。
もうひとり女性も乗ってきた。

助かったー。涙が出そうだった。

ひとりでとっても不安だったので、３人になってとても心強い。
２人ともとても良い方だった。
特に一人の方は機転もきいて、落ち着いていてただものじゃないなといった感じ。
ホントに心強かった。

裏道を駆使したので都内はほとんど渋滞はなし。
しかし川崎市に入って停電して大渋滞。
信号も消えていたのでとても怖かった。
ここから結構時間がかかったけど歩いて帰るのは怖かったのでじっと我慢。

結局信濃町から４時間かかって帰宅。
とても歩ける距離ではなかった。

都心ほど大混乱はないので、みんなのほほんとしているのがちょっと悔しかった。
苦労して帰ってきたんだよー。

家についても余震が続いて生きた心地がしない。
でも会社ほど揺れないのでまだマシかな。

パートナーは帰宅を諦め宿泊。
無事なのは分かってるけど顔をみたい。

次の朝、無事合流。良かった。無事で。

会社のみんなは夜中に電車で帰った派と
会社に宿泊した派に別れたよう。
とてもじゃないけど余震が続く中あのビルにいる気にはならない。
みんなすごいなぁ。仕事をしていたみたい。

ニュースを見ると被害がどんどん増えていて悪夢を見ているよう。
両親の実家は小名浜。海のホントすぐ近く。
連絡も取れないし、安否も分からない…。